ハルヒ劇場冬コミ編

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ハルヒ劇場夏コミ編

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Haruhi’s Show author by Mar
Kikaigoya presents.




そんなこんながあった後、なんとか正月を迎えた。
とはいえ、大晦日までの修羅場からやっと開放されて、元日は疲れからすっかり寝正月だったが。
 初日の出を見ることもなく、妹の目覚ましジャンピングニーにもまったく動じなかったほどに爆睡をかましてしまい、高校生の青春の一ページがこんなことでいいのだろうかと疑問が浮かび、いっそ人生を考え直そうと思ったほどだ……。

 ということで、新年最初の一日目が潰れた俺は、二日目にやっと起き出してこれから初詣に……しかし一人で行くのもなんだな。
 ハルヒと朝比奈さんは巫女のバイトの真っ最中だ。
 かと言って古泉と野郎二人というのも空しすぎる。
 そういった思考の後、長門を誘ってみると行ってもいいとの返事が返ってきた。
 宇宙人が地球の神様に興味があるかは解らんが、ハルヒのバイト先の神社に行くと告げたからだろうか。
 まあそういう俺も別段信心深いわけではなく、神様には聞いてくれるのかわからない願い事を適当にしつつ、新年初朝比奈さんを拝みにいくのが主な目的のようなもんだがね。
 そんなわけでいつもの北口駅前で長門を待っているという次第だ。
 その間に、先日コミケでの顛末を回想モードでご覧頂こう。
 ………
 ……
 …


『これにて、コミックマーケットを閉会いたします』


 アナウンスと共にそこいらから拍手がおこり、俺もそれに加わってみる。
 なんだかんだあったが、ようやく閉会を迎えることとなった。

 その直前、今回は特別に黙祷が捧げられたのだが。
 なんでもこのコミックマーケットの主宰をしていた偉い人が、最近亡くなられたとのことだ。
 この広い会場中賑やかなお祭り騒ぎに包まれていたのが、その間のほんの一瞬だったが、しん……と静寂に包まれたのには、何も知らない初参加の俺でも感慨深いものがあった。

 ところでハルヒと朝比奈さんが着ていた巫女服だが、どうやら正月に神社で巫女のバイトをこじ入れて、その衣装を持ってきていたらしい。
 修羅場明けもどこ吹く風で、年明け早々休む事なく朝比奈さんを引き連れていくとか。
 そのバイタリティはどこから出てくるんだろうね。

ハルヒ「みんなお疲れさま。次回も絶対参加しましょう! 今度はあたしがプロデュースしたげる。見てなさい、目標数値は常にを昨年対比を上回らないといけないのよ! うん、また忙しくなるわよー」
キョン「おいおい。
またこんな凄まじいことすんのか!?」

みくる「ふひー」
 長門「……」
.


ハルヒ「ああもう、次が待ちきれない!
こんなにも楽しいことがいっぱいでいいのかしら!? ねぇキョン?」


 古泉が心底から笑っているように見えるのも気のせいではないだろう。
 やれやれ…と思ったものの、このやれやれはハルヒと出会った頃のものとは違う。
 俺が変わったように、いつぞやの幼き日に野球場に行ったという話からは想像もつかないほど、ハルヒもどんどん変わってるってことだ。
 そしてこの会場では一人一人、みんな誰もが主役になれる……そういうことだろ、ハルヒ?

ハルヒ「さ、それじゃ行きましょ」
キョン「そうだな。
かたづけも終わったし長居は無用だ。
とっとと帰って正月に備えなきゃな」

ハルヒ「何言ってんの、その前に打ち上げよ打ち上げ。完売したら焼肉って相場が決まってるのよ! 軍資金もたんまりだしね」
キョン「何だって!?
打ち上げなんてやってて、明日からの神社のバイトに間に合うのか?」

ハルヒ「大丈夫。なんとかなるわよ」
キョン「……やっぱり後先考えてないな、
やれやれ」
ハルヒ「さぁみんな、今日はじゃんじゃん食べ放題よ! レッツゴ〜!」


 ようやくアメリカ産牛肉解禁で、早いうまい安いの牛丼屋で食べられるようになったというこのご時世に、超高級国産ブランド和牛の骨付きカルビ……。
 特にハルヒと長門二人して、売り上げ全部肉に掏り替わったんじゃないか? と思うほどの喰いっぷりで、レジで金額を聞いた時には俺もぶったまげた。
 しかし、その金額に顔色ひとつ変えずに支払いをする制服少女……長門には、さすがに店員も目を丸くしていたな……いやこんな肉、俺はじめて喰ったって。バカ美味!
 …
 ……
 ………


 とかなんとか思い出してる内に…うおっ! 長門、そ、その格好は……


長門「……」


 いつもの制服にフードをすっぽりとかぶったダッフルコートと思い込んでいた俺は、あまりにも不意打ちなその光景に衝撃すら覚えたのだが……思わず口をあんぐり開けてしまっていてみっともない状態だったかもしれない。
 なにしろそこには、振袖を着た長門が慎ましやかに立っていたのだ。
 俺は深呼吸をひとつして動悸を抑えつけてから、長門に声をかけてやった。


 キョン「じゃ、じゃぁ行くか」
.

 まぁなんだ。振袖なんぞ着込んでくるのは、女子として板についてきたということじゃないか。
 なんだかわからないが、男として嬉しさというか満足感が湧き上がってくるような気がするな。
 ……着物属性なんて、俺にはないのだがね。


キョン「長門……」
長門「何」
.


キョン「似合ってるぞ」
 長門「……そう」
.

 静々と俺についてくる長門は……なんていうか、すごく様になっていた。

第11話



朝倉「ありがとう、楽しかったわ。あなたのおかげよ」
長門「違う。これは涼宮ハルヒの力」
朝倉「でも、あなたは私をここに呼んでくれた。必要としてくれた。たとえ一時的であっても」
長門「……」

朝倉「……そうね。それじゃ涼宮さんにもお礼を言っておいて。それと、他のみんなにもね」
長門「わかった」

朝倉「あなた変わったわね。これも彼のおかげ?」
長門「……」

朝倉「不思議ね。今は彼を殺せなくて、本当によかったと思ってる」
長門「……そう」

朝倉「だって、あなたを見てると面白いんですもの。くすっ、なんだかおかしい」
長門「面白い?」

朝倉「あ、ごめんなさい、別に変な意味じゃないのよ?」
長門「……」

朝倉「それにしても、彼は涼宮さんじゃなくて、意外とあなたとお似合いなんじゃない?」
長門「………………」

朝倉「そういえばお正月にキョンくんと初詣に行くんだって? 折角だから晴着でも着ていけばどうかしら」
長門「なぜ?」

朝倉「彼が喜ぶから。あら、私だって、伊達に何度も蘇ってないのよ?」
長門「……あなたに迷惑をかけているなら」

朝倉「くすくす、冗談よ。いいのよもう。元はといえば私が悪いわけだし」
長門「あなたも変わった」
朝倉「そうね。これが自律進化の可能性なのかも」
長門「そうかもしれない」

朝倉「クラスのみんなと机を並べて勉強したりお弁当食べたり、そういう日々も悪くはなかったんだけど……でも、ちょっと退屈だったしね」
長門「……」

朝倉「さてと、そろそろ行くね。また会える日を楽しみにしているわ」
長門「そう」

朝倉「じゃあね。キョン君とお幸せに」


…………ありがとう。


エピローグ

じゃあね

 追伸。そもそも、この物語……どたばた劇の導入は、こんな些細なやり取りから始まったのだ……
ハルヒ「寒くなってきたわねー」

 夏の間は冷房もなく開け放たれていた部室の窓を閉めようと立ちあがったハルヒは、少しの間窓の外をぼんやりと眺めていた。
 秋も深まり、紅葉やら銀杏やらが澄んだ青空に色めきはじめ、乙女心と秋の空などという言葉がコイツに似合うのか、眉間に指を当てて思考を巡らせていると……
 ふいにハルヒが、こんなことを言いだした。

ハルヒ「そういえば、朝倉はカナダで元気なのかしら?」
キョン「今帰ってきたら、
さながら帰国子女ってところか?」

 ハルヒのいかにも好きそうなネタだが……。
 だがもちろんハルヒは、朝倉がナイフを振りかざして俺を襲い、あげく長門によって消失させられたことなど知る由もないのだが。

ハルヒ「久々に会いたいわねー。ねぇ有希、あなた同じマンションの住人だったんだし、何か連絡来てない?」


プロローグ

……。
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