ハルヒ劇場夏コミ編

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ハルヒ劇場冬コミ編

SOS NotOfficialPage


原案・プロット/シナリオ:Mar
絵とアイデア:Piで
機械語屋 presents.




古泉「ハルヒ劇場を見るときは
部屋を明るくしてディスプレイから離れて
見てください」
ハルヒ「だぞ」


好き……?
ハルヒ「おっちゃん、駅弁五つねーっ!」


 旅で浮かれる気分はわかるが、この灼熱の炎天下も、ハルヒの年中常夏といっても過言ではない思考回路には、太陽電池パネルに照りつける直射日光のように自家発電に回っているようで、そのあり余ったエネルギーを電力会社にでも売れば、首都圏の真夏の昼の電力供給にも怯えずにすむと思うのだがね。……ある意味核より取り扱いには注意が必要かもしれんが。
 夏バテ気味の体に、陽炎のようにゆらゆらと揺れるプラットホーム熱にあてられて、なんともいえない気分の悪さを堪えている俺まで振り回さないでくれ、熱射病になったらどうするんだ。
ハルヒ「電車での長旅の醍醐味は、この駅弁にあるといっても過言ではないわ! もぐもぐ……うまいっ! なんておいしいのっ! この超幕の内弁当って!」


 古泉はニコニコ顔で俺の隣にいるわけだから、世界的には平穏無事かもしれないが、その分俺の気苦労は増すばかりというのは何故だろう……
 頼むからもう少し静かに喋ってくれよ。周りの人がみんなこっちを見てるだろうが。
ハルヒ「ほらキョン!
駅に着いたわよっ。乗り換えよ。
これで3回目っ」
長門「……」


 ハルヒよ、俺たちがどうこう言っても電車はダイヤ通りにしかでないぞ。
 古泉が事前に乗り換えルートを調べてきているし、長門がさらに念を入れて逐一時刻表を読んでいる(?)くらいだから、慌てることもないはずだが……
 毎月発行の、ちょっとした携帯辞書くらいの厚さがある時刻表とにらめっこしながら旅を楽しむ鉄オタというのもいるみたいだが、乗り換えの度に駅の構内を駆けずり回ったり、けっこうハードな気がする。
 コミケもすげぇと思うが、オタクという人種はある意味とんでもないエネルギーを内に秘めてるのかもしれん……

 前回はお年玉を見越して新幹線などという高価な交通手段を使ったが、今回は旅費を少しでも浮かせるために「青春18切符」で移動中である。
 提案したのは古泉のヤツで、五枚セットで一万千五百円のJRの一日乗車券、……つまり一人頭二千三百円で東京まで行けるとか。
 しかし快速までしか使えず、JR路線を乗り継いで行くから十時間ほどかかると抜かしやがった。さらに鶴屋さんの別荘でのイベントを目論み、昨年お世話になった新川氏と森さんの執事とメイドさんコンビ、さらにはあの多丸兄弟も来るとのことで、何やら準備が着々と進められているようだ。例によって機関がてぐすねを引いてるのか? それから鶴屋さんも、何か関東一家浅草組がちょろんとゴタゴタしてるので先に行って仕切っておくとか……なんのこっちゃ。
 ちなみに今回の件で古泉の副団長の地位は確固たるものとなった、とハルヒがのたまっている。
 そんなにハルヒのご機嫌とってどうするんだ? 副団長なんぞ全然嬉しくないぞだから顔近いっての。

 さて、皆さんもすでに注目されていることと思うが、この狭い車内にしかも三人お揃いで、真っ白なサマーワンピに鍔付き帽子姿は、周りの視線を一心に集めてる気がしてならん!
ハルヒ「去年の夏の合宿で乗ったフェリーの甲板に、白いサマーワンピ姿で傷心旅行の最中の女(ひと)がいたじゃない?」
キョン「居たような気もするな」


……TV版のアレか。

ハルヒ「やっぱりあれが女の旅の
醍醐味じゃないかと思ったのよ!」
長門「…………」


 というハルヒ思考で、SOS団三人娘は仲良く白いサマードレスに帽子姿と相成ったわけだ。
 想像してほしい。ただでさえ人目を惹く女性(特に朝比奈さんな)が、真っ白なワンピースに鍔付き帽で電車の座席に座っていたとしたら……どこぞのメルヘン小説か? しかもそれがトリオでって、罰ゲームか何かのロケかと、周りの好奇な視線が降り注ぐこと受け合いだ。

 その意中の人というべき誰もが胸キュンの朝比奈さんだが、マイペースというか……まったくそういったことにお構いなしで、窓側の席から手を出して風を受けてみたり、のどかに広がる田園風景に感動を覚えてらっしゃったりする。
 いや実にいいね。その天然素朴な少女らしさをいつまでもなくさないでくださいと切に願うばかりだ。
 長門は長門で、ちょこんと座席に腰を下ろして読書に耽っている。
 普段はいるのかいないのか、存在感を感じさせないその容貌も、衣装効果かそれはそれで絵になっている。うん、これもなかなか。
 ……ただ、手にしている本……いや、コミケのカタログというのはどうなんだ!?
 その取り合わせというかミスマッチ感が逆にいいのか? オタ的には。
 微妙な雰囲気とか変な空気とか周りからの妙な視線とかごじゃまぜでいやもうわけわかんないし。


ハルヒ「ツモッ! あっがりー!」
キョン「ババぬきでツモって、
なんだそりゃ」

ハルヒ「あんたババ持ってるでしょ?
右から二枚目。顔に出やすいからすぐ分かるわ」


 ああそのとおりさ。くそっ、手札の順番変えとくか。

古泉「それでは次は僕ですね。……今手札の順番を変えましたね? それなら右から二枚目を引かせていただきましょう。 おや?」
キョン「甘いな古泉。裏をかいて
ジョーカーの位置はそのままだ」

みくる「ババを引きませんように…… あ、よかったぁ」
ハルヒ「また古泉くんドベ? さっきから通路に座りっぱなしじゃない」

 四人がけのボックス席に五人という人数は非常に座りが悪い。仕方ないので一人は通路に半分身を出して、皆でトランプに興じていた。
 通路にしゃがむのはゲームでドベになったヤツというルールでな。
 よって必然的にゲームの弱い古泉が多くなる。まぁ、青春18切符で行けば安く済むと言い出したのは古泉だからな。ある意味自分でまいた種だ。
 その次のゲーム、今まで負けなしだったハルヒがようやく負けた。敵にウィークポイントをわざわざ解説してるんだから自業自得ってもんだろ。
 って、おいこらハルヒ。負けてふてくされるのは勝手だが通路にウ○コ座りは行儀悪いからやめないか?
 成りは朝比奈さんにも負けてないのに、もう少しおしとやかさというか、そういうのはでてこないもんかね。やれやれ。

 車内が混んできたら、横並びに取っている二つのボックス席にくじ引きで席順を決めてしりとりもどきなどをする。
 しり二つとり、というものらしい。朝比奈さんが何かの本で読んで、まねしてやってみているのだ。
 単語の後ろ二つを使って、次の人が単語を出すというルールだ。

ハルヒ「じゃあ、『しりとり』」
長門「『とりかご』」


キョン「んー、『かごめ』」
みくる「えーと、『め』……じゃなくて『ごめ』? んーと、えーと……ごめんなさい」


キョン「『こめ』でもいいんですよ」
みくる「あ、そっか。
それじゃ……『こめびつ』」


古泉「そうですね……『ひつまぶし』
でどうでしょう」
みくる「なんですか、それ?
暇つぶし、じゃなくて?」
ハルヒ「みくるちゃん知らないの?
名古屋のうなぎ飯よ」
キョン「俺はTVでしか観たことないぞ」

ハルヒ「まあ、あたしも食べたことは無いんだけどね。
あれ? 名古屋ってもう過ぎたっけ。
ひつまぶし弁当とかありそうじゃない?
食べたい人は、この指止〜まれっ!」
キョン「っておい、また食うのかよ。それに名古屋はさっき過ぎたろうが」



ハルヒ「じゃあさ、帰りはぜひ食べましょう! ついでに名物駅弁制覇の旅東海道編なんてどう!?」


 どうって……。他のメンツはともかく、食の細い朝比奈さんはひと駅でリタイヤ必至だろうが。お前や長門のようなブラックホールの胃袋を持つ大食い女王といっしょにすんな。

ハルヒ「いちいちうるさいわねキョンは。
大丈夫よ、旅を満喫するには何といっても地元の特産品よ!
そこでしか味わえない絶品グルメにすぐお腹も空いてくるわよ。
んじゃ、次ね。ぶし、ぶし……『武士道』!」
長門「『どうがねぶいぶい』」
ハルヒ「どうがねぶいぶい?
何それ?」
キョン「確か、コガネムシだかカナブン
だかじゃなかったか」
ハルヒ「そうなの有希?」
長門「そう。銅色の小さい昆虫。
銅金とカナブンが語源と思われる」

ハルヒ「へー。キョンがそんなの知ってるなんて意外だわ」
キョン「俺は幼稚園時代には昆虫博士として有名だったんだぞ」
ハルヒ「知らないわよ、そんなの」


 と、いったことを乗り換えのたびに繰り返していたわけだが……

 今の電車に乗って暫くすると、ハルヒと朝比奈さんがお互い寄りかかるようにして寝息を立て始めた。
 出発してからすでに七時間だからな。疲れもするってもんだ。
 二人して寝るさまは、まるで仲のいい姉妹のように見える。
 ハルヒも黙ってれば愛嬌もあるんだがな……まったく。

第3話
私をコミケに連れてって




 ふう、ようやく浅草だ。
 夏の陽は長くまだ暗くはないんだが、朝早くからずっと電車に揺られっぱなしの長旅だったな、はぁ……。
 朝比奈さんは肩を落として猫背気味、古泉もいつものスマイルに少し陰りが見える。


ハルヒ「電車から雷門って見えないのね、つまんないわ」

 例外的にまだまだ元気なのが一人、いや、普段と変わらない長門も入れると二人か。
 さて、駅まで鶴屋さんが迎えにきて下さるそうだが……まだみたいだな。

「…………」



ハルヒ「今、機関銃を抱えた女子高生が! あれは何だったんだろう……」



キョン「なんだ?」
ハルヒ「んー、見間違いかなぁ。
誰かに似てた気もしたんだけど」

 おいおい、物騒な。どうせ映画のロケかなんかだろ。
 俺の知る物騒な奴なら……やっぱナイフだろうしな。


ハルヒ「ん? 何よ」


キョン「なんでもない」
長門「……」


 ……まあ長門は普通だし、大した問題ではあるまい。


鶴屋「べらんめい!
おうおうよく来たなっ」
ハルヒ「あ、鶴屋さん。お迎えありがとう。ところでその別荘ってどんなところ!? 何か変なものが出るとかない?」

 いきなり江戸っ子調でお出迎えですか。
 あの鶴屋さん? 着物がビシッと決まって、何か姐さん肌なのですが。
 だがハルヒもハルヒであいかわらずの失礼ぶりだ。だいたいこんな都心の真ん中で何が出るってんだ。

鶴屋「カンラカンラ。それはあとのお楽しみ。でさっ、この人数だとワゴンかバンがあればよかったんだけど、あいにくレンタカー借りれなくってさー」
みくる「じゃあバスに乗って行くとか?」


鶴屋「いやー、それがバス停もウチからはちょろっと離れるんだ。だからうちの車を使うことにしたよ。二台回したからっ、分乗してさあ乗った乗った」
キョン「……あのー、鶴屋さん。俺たちの乗るのは本当にこの車でいいんですか?」


鶴屋「そうさっ、その黒いの。見た目はいかついかもしんないけど、気兼ねなんてしなくていいよっ」


 いや、さすがに気兼ねっていうか気後れします。三ナンバー黒塗りスモークガラスのベンツじゃ。

 電車から車に乗り換えて、さらに揺られること十分ほどで別荘に到着……こりゃまた古風ででっかい日本家屋だな。
 都心でこいういう家を維持するのは大変だろう。やはり鶴屋家恐るべしだ。
 しかし黒服サングラスの男が何人か目の届くところにいたりするのは……。

鶴屋「使用人と思っといてくれればいいっさ。最近この辺も物騒だから、人は多いに越したことないよっ。ほらあんたたちっ、しっかり見張ってるんだよっ!」


 何をだ。……なにげに軽く嘘ついてませんか、鶴屋さん?



 鶴屋さんの別荘にチェックインした俺たちは、男女別に分けられた寝室に荷物を置いて汗で湿ったお出かけ服から着替えた後、広間で食事となった。


新川「皆様お疲れ様でした。
ごゆっくりおくつろぎ下さい」
森「こちらのお席にどうぞ」

キョン「(こそっ)……おい古泉、
この人選はどういうことだ」
古泉「(こそこそ)何がですか?
こういうことです。去年と同じです」

 SOS団の合宿で新川氏と森さんが執事とメイドというのは、規定事項なのか?


ハルヒ「そこ、何こそこそ話してんの」
森「ワインはお召し上がりになりますか?」

ハルヒ「ノーサンキューよ。
去年の孤島の別荘でもうこりごり」


 お祭り参加とは言っても俺たちは未成年者、アルコールは厳禁だ。ダメ、絶対。

鶴屋「これおいしいね〜。おねえさんびっくりだ。誰が作ってんの?」
ハルヒ「へへん。それはね、新川さんよ!」


 そこ、自分の手柄みたく言うな。

鶴屋「こりゃ、ウチの使用人も真っ青だ。どう新川さん、ウチで執事やんない? なんなら森さんも一緒に。給料は二倍……ええいっ、三倍でどーだっ!」
新川「はっはっは。これはおたわむれを」


鶴屋「ちぇー。やっぱだめかぁ」


 チラリ古泉の方に意地悪く目線をやったように見えたのは、気のせいじゃないだろう。古泉は例によってやれやれ顔だ。

ハルヒ「でもほんとおいしいわね。ウチのみくるちゃん置いてくから、ちょっと鍛えてやってくんない? メイド暦はもうそれなりなんだけど、なんちゃって感?がどうしても抜けないのよね」
みくる「ええっ!?」

森「それでは……手取り足取り
教えて差し上げましょうか?」
みくる「えええっ?!」

森「うふふ。冗談ですよ」


 ん? いつもならがっつり食べる長門が、今日は食が細いな。どうしたんだ?

長門「べつに」
ハルヒ「セバスチャン、
これのお代わりお願いね」


新川「かしこまりました」
 キョン「……なにげにセバスチャン言うな」


晩餐in浅草







第4話
ASAKU●A症候群

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戻ります

ハルヒ「ええいっ、連邦のモビルスーツは
化け物か!?」
長門「長門、行きまーす」

古泉「ザクとは違うのだよ、ザクとは」
キョン「……それは、俺のことか?」

みくる「わたしのうた……
どうか忘れないで」

番外
ガンダムごっこ編!?